明日の君へ

別居生活の記録

2022年の年の瀬に寄せて

今年が終わろうとしている。

振り返るに諸々の思いが湧き上がるが、やはり今年を語るには或る人物との出会いに関して避けるわけにはいかないだろう。

その方には多くのことを教わった。

教わったと言えば過去のもののようではあるが、実際にはその教えは今も現在進行形であり、これでお仕舞いというところがない。そして振り返ってみてもそのたびに別の切り口から新たな教訓が湧出するために、毎日が自己の行いの反芻と自省の繰り返しとなっている。

仏教の信仰によれば人は死したのちに一週に一人、七人の賢者と邂逅して49日かけて涅槃に向かうというが、もし生きているうちにも七人の賢者に出逢うことがあるとすれば紛うことなくその七賢人の一人に数えるべき人である。

多くの教訓、多くの反省を与えて頂いた。

この不肖のわたしが真っ当な人間に成長して社会に貢献していくというこの道程に於いて、過去これほどにも多くの明示的課題を与えて頂いた賢人はいなかった。

極々瞬間の、刹那の心のやり取りに全てが込められている。人と人の繋がりは永劫のものではなく、刹那の繰り返しによる断片を紡ぎ合わせた極めて胡乱で、そして不安定なものである。だがそれこそが全てなのだ。それに癒され、ときに傷付き。
自らを省みて向上を計るべし。

我を捨て欲を捨て、極力多くの事象に目を向け耳を傾けること。新緑の馨しい五月の風の如く優しい人になるのだ。