明日の君へ

別居生活の記録

二年経過

家を出てこの日記を始めてから大方ニ年が経った。

たまに会う家内は変わらず美しいが歳は取ったなと感じる(人のことばかり歳を取ったなどと云うのも難があるから、自分についてもここ2年で老け込んだとしておく)。

相変わらず夢や希望はない。
ただ死なないから生きている。
毎日を過ごす。

それは変わらない。

ただ、二年もあればそれなりに色々な出会いがあるもので、言うほど寂しい生活を送っているわけでもない。
特に年明けてから数ヶ月、身辺が実に面白い状況になっている。ここに書けるようなことではないため詳述は避けるが、なんとも名状し難い奇妙な刺激に満ちている。
普通に生きていては直面できないような、極めて稀かつこの上なく光栄な状態ともいえる。

絶望の淵に佇む孤独の牢獄に立ち込める黒い霧を、猛々しい一陣の旋じ風が吹き払ったのだ。
今は落ち着きを取り戻しわたしの周囲を彼方此方へと渡るこの自由気ままな風が、この先何処に向かうか、行く先々でどのような物語を紡ぐのか、とても楽しみだ。

そして、可能ならば暗澹たる我が道にも、たとい僅かであっても、一筋の光芒がもたらされんことを。



♪ 演奏会用アレグロ Op.46
F. Chopin