明日の君へ

別居生活の記録

6月の終わりに

“多くの天才が死んでいく、自分がどれほどの才気を持つかも知らず、他人にも見出されることなく”


マーク・トウェインの言葉だそうだ。

私は子供の未来を案じ、人並みの幸せを願い、人並みの振る舞いを求めた。

しかしそれは、人にはない子供の翼を、普通と違うからというだけの理由でもぎ取る行いだった。

結果子供の心は壊れ、私は家庭を壊し、家庭を後にした。

独りで4ヶ月生活して気付いた多くのことはただ一言で言えば「慚愧」。

周囲の多くの人の優しさや思いやりの中に生き、救いに手に拾い上げられ、其れらに甘え甘えて生きているだけの人間が、我が子にしたことは一体全体何だったのか。

情けない。
言葉を失なうほどにも。

厳然たることとして、過ぎ去った時は戻らず、吐いた言葉や振る舞いは取り戻せない。いくら正当化しようにも、いや、正当化しようとすればするほど、その現実が否応もなく心に迫り、過ちをはっきりと鮮明に浮かび上がらせる。

私は馬鹿者だった。愚かなか弱い人間だった。
そしてそれは今後も変わらないだろう。変わるはずもないだろう。

とても悲しいことだが。

♪ 歌曲集「ミルテの花」より第1曲「君に捧ぐ」
R. Schumann / F. Liszt